トップ お薦めの映画 お薦めの本 名作アニメ お問い合わせ ブログ

旧約聖書

ダビデ王とバト・シェバ

ダビデ

まず、ダビデ王といえば、サウル王に継ぐ神によって選ばれたイスラエル王。
その第1の功績は新都エルサレムの建設でした。ダビデ王は先住者であるエブス人を攻撃し、この要害を手に入れました。他にも対ペリシテ人戦、対モアブ人戦、対ハダドエゼル戦、対エドム人戦、対アンモン・アラム同盟軍戦、対ペリシテ人戦と活躍し、内政においても、人口調査実施、祭司職の組織化、軍隊の組織化、王室財産の管理、神殿造営の準備及び宣言等々なし、また、旧約聖書の『詩篇』の作者として、音楽の名手としても知られています。

そんなダビデ王がなぜ・・・、という場面をご紹介したいと思います。

ダビデ王は隣家の庭で水浴びをしている美しい女性に一目ぼれをします。
その女性とは、ウリヤ将軍の奥さんのバト・シェバでした。
ダビデ王は使いをやってバト・シェバを呼びにやらせ、彼女が彼のもとに来ると、床を共にしました。
それから数ヶ月して王にバト・シェバから子を宿しましたと手紙が届きました。
(サムエル記下11章2節ー5節)

手紙を読んだダビデ王は、一瞬顔色を変えました。
それから至急の使者を戦場に送り、ウリヤ将軍を呼び戻しました。
「ごくろうだった、早く家に帰れ」
と命ぜられたウリヤ将軍でしたが、忠実で勤勉なウリヤは
「わたしの上司も部下も戦場で野営の身ですのに、わたし一人がぬくぬくと妻と寝床にいることなどできるわけがありません」と語りました。

ダビデ王はウリヤを最も激しい戦地へ送り込んだ上で、彼一人を残して退却し、戦死させよ、との手紙を送り、ウリヤを見殺しにしました。

ウリヤ将軍を戦場から急に呼び出したのも、子供の父親がウリヤだというアリバイづくりのためだったのです。
ウリヤは家に戻らなかったので、抹殺する以外に方法はなかったのです。

このような悪質なやり方で人妻を奪ってしまったダビデ王。
預言者ナタンは神が王の行ないに対して非常に腹を立てていると、厳しく王を叱責しました。

「王様、あるところに羊をたくさん持っている大金持ちと、たった1匹の子羊を大変かわいがって育てている貧乏人がいました。
あるとき金持ちは、お客をもてなすのに自分の羊を惜しんで、貧乏人の子羊を奪って料理してしまいました。これをどう思われますか?」

ダビデ王は正義観に燃えて
「そんなひどいことをする金持ちは死刑だ!」と断言しました。

すかさずナタンは、
「王様、その男はあなたではありませんか。あなたはウリヤを敵の剣にかけて殺し、その妻バト・シェバを奪ったではありませんか。神様はこうおっしゃっています。ダビデに油を注いで王にしてやったのはこのわたしなのだ。わたしはあの男に王位を与え、妻を与え、何一つ不自由のないようにしてやった。
なぜ、わたしをあなどって罪を犯したのか?」
これを聞いたダビデ王には、どっと後悔が押し寄せてきました。
しかし、もう手遅れです。

神様は、こうおっしゃいました。
「王の家族からダビデ王に対して悪事を働くものを出す」
「ダビデの目の前で妻たちを取り上げ、その隣人に与える。そして、ダビデ自身は死の罰を免れることはできるが、その子供は死ぬだろう」
(サムエル記下12章1節-15節)

さて、話は変わりまして、ダビデの息子アムノン王子は、異母姉妹のタマル王女に恋をしていました。
タマル王女はアブサロム王子の妹でした。アムノン王子とアブサロム王子は異母兄弟でした。
(カタカナ横文字の名前が続きますが、しっかりついてきてくださいね)。

妹タマルへの思いにアムノン王子は病気になりそうでした。

アムノン王子は、やつれた様子をみて哀れに思った親友に、病気を装って、タマルの手作りの菓子を食べて養生したいので、見舞いに来させてください、と父タビデ王に申し出るがいい、とアドバイスを受けます。
これを聞いたアムノンは、わが意を得たりとばかりに即実行に移します。

タマルはダビデに言われたとおり、何の疑いもなくお見舞いに行きました。
アムノンは人払いをし、タマルに言いました。
「料理をこちらへ持ってきてくれ。お前の手から食べたいのだ」
タマルが彼に食べさせようと近づくと
「妹よ、おいで。わたしと寝てくれ」
「いけません。兄上。わたしを辱めないでください。イスラエルでは許されないことです。」
アムノンは彼女の言うことを聞こうとせず、力ずくで辱め、彼女と床を共にした。
(サムエル記下13章1節ー14節)

余談なんですが、ここの箇所をはじめて読んだのは15歳の頃でした。 当時通っていた学校に宗教の時間がありまして、先生がこの箇所を指摘しながら、聖書は高尚で厳格なことばかり書いてあるわけではないことをアピールしておられたのを思い出します。

さて、これを知ったアブサロム王子は激怒すると同時に、長男で王位継承の可能性の高いアムノンを殺すまっとうないいわけができたことを内心喜びました。

アブサロムは、羊の毛を刈るお祝いに宴席をもうけるからと、アムノンを招待します。
お酒も入りほろ酔い加減になったところを、アブサロムの合図のもと、いっせいに彼の部下がアムノン王子に襲い掛かり、アムノンは首を落とされます。
アブサロムは国外逃亡します。
(13章23節ー39節)

国外逃亡から3年、アブサロム王子はエルサレムへ帰ってきました。
しかし、アブサロムは2年ものあいだ、ダビデ王との面会を許されませんでした。ダビデ王の一番のお気に入りとして何不自由なく振舞ってきたアブサロムにとって、これは屈辱的で、アブサロムの心は次第にダビデ王から離れていきました。

そしてアブサロム王子は意外な行動に出ました。
エルサレムの城門のところに自ら立って、王宮へ直訴や相談事に来る人をつかまえては、悩み相談に応じたのです。
アブサロム王子はイスラエル1とうたわれる美貌を誇り、王子の貫禄と使い分けて直接一般人の悩み相談を受けるのですから、みなコロリとまいってしまいました。

国民の悩み相談で支持率が急上昇したアブサロム王子は、王となることを宣言しました。世論を操作してのクーデターにダビデ王は姿をくらまし、それと入れ替わるようにアブサロムが新王としてエルサレムに入城しました。
王宮に入ったアブサロム新王は酒宴を開き、タビデ王の側女のいる後宮に入っていきました。

しかし、次第にダビデ王の支持率がアブサロム王よりも高まってきました。

親子の軍は、エフライムの森で衝突しましたが、結果は圧倒的にダビデ軍の勝利でした。アブサロム王は自慢の長い髪が枝にひっかかり宙吊りになってしまったところを、ダビデ王の忠臣ヨアブに討ち取られてしまいます。

実はダビデ王はアブサロムを殺さないように命じていました。
アブサロムの死を聞いたダビデ王は悲しみに打ちひしがれ
「アブサロムよ、アブサロムよ、わたしが代わりに死ねばよかったのに」
と勝利したにもかかわらず嘆き悲しみます。
(14章ー19章)

このようなことになったのも、罪のないウリヤを見殺しにして、妻のバト・シェバを奪ったあの一件が原因だったのでしょう。

ボタン

ページトップへ
Copyright©Sena's Room
inserted by FC2 system