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蛙の祈り

かえる

アントニー・デ・メロ  著
裏辻洋二  訳
女子パウロ会

著者はカトリックの司祭で、ユーモアあふれる小話集です。カトリックの人だけを対象と した本ではないので、どのようなバックグラウンドをお持ちの方でも読める、笑いと悟り へと導く著作です。
ただ著者は、「ああ、おもしろかった。この話はあの人この人にぴったりだ。」と思わないでほしい、と言われます。
自分について、何らかの照らしを願う人だけを別世界に案内したい、という著者の思いが込められているようです。

一部内容を引用してご紹介しましょう。

芝生の中のヒキガエル

父親が12歳の娘に言った。
「庭の芝生を刈り取ってくれたら、お小遣いをあげるが、どうかね。」
少女は作業に取りかかり、心をこめて働いた。夕方までに庭の芝生はきれいに刈りこまれた。ただ庭の一角のひとところだけが刈り残してあった。 父親は言った。

「刈り残したところがあるから約束の金はあげられない。」

「買いたいものがあるんだけどな」と娘は言ったが、芝生はそのままにして刈ろうとはしなかった。

どうしたんだろうとけげんに思った父親は、刈り残しの芝生をのぞいてみた。

真ん中に大きなヒキガエルがいた。ヒキガエルの上に芝刈機をかけるのが忍びがたく避けて通ったのだった。

愛のあるところに秩序の乱れが伴う。

完ぺきな秩序を推し進めれば世界は墓地と化す。


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