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ギリシャ神話

アフロディテの結婚

アフロディテは愛と美の女神です。
彼女は欲望の女神であって、他のオリュンポスの神々と違い、彼女はその義務をつらいとは思いません。仕事は彼女にとって快楽であり、つとめは道楽でした。彼女は愛のことのみを考え、誰もそれ以上のことを彼女に期待しませんでした。

彼女は海の泡から生まれました。
丈の高い美しい彼女は身に一糸もまとわず、膝にまで届く、水仙の花の色の明るい毛髪でわずかに体をおおい、まだ海の水がしたたっていました。
ゼウスは彼女をオリュンポスに連れて行き、神々に向かって言いました。

「アフロディテは結婚しなければならない。彼女は自分で選ぶからめいめい、求婚するように」

神々は彼女のまわりにひしめき、さまざまな約束を叫び、自分が夫になるべきだという権利を主張しました。
そこへポセイドンが三つ又の矛を振り回して、まわりの神々を追い払って言いました。

「私は海に関連があるといことであなたを要求する。あなたは海の泡からうまれたから私のものだ。私はあなたに洞穴や神秘、宝石、美しい海面と暗い大海をさしあげよう。そしてじっとして退屈な陸と違い、ゆたかな動きに富んだ権力をさしあげる」

彼がアフロディテに会釈をすると、彼女は微笑みましたが、何も言いませんでした。

他にも神々が順に、さまざまな贈り物を申し出ました。
アポロンは太陽の赤熱した黄金で作った玉座と王冠、白馬にひかせた金の戦車、などを約束しました。
ヘルメスは、彼女を人々の集まる十字路の女王にしようと言いました。そこであらゆる旅人、あらゆる話と、事件を知ることができて、飽きることを知らないと言いました。

彼女はアポロンとヘルメスに微笑みましたが、何も言いませんでした。

そのときむずかしい顔をしたヘラが、足の悪い鍛治の神ヘーパイストスをつかまえました。彼は神々に見られるのを恐れて、陰にかくれていたのです。彼女は息子の耳にささやきました。

「ばかだね、さ、教えたとおりに言うんだよ」

彼はやっとのことで、足を引きずりながら進み出て、輝かしい女神の前で、顔をあげる勇気もなく、目を伏せて立ちました。

「あなたのような女性にふさわしい、よい夫になります。よく働きます」

アフロディテは微笑み何も言いませんでしたが、鍛治の顎に指を立てて顔を持ち上げ、身をかがめてキスをしました。

その夜、二神は結婚しました。


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