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ギリシャ神話

アポロンとダプネ

アポロンとダプネ

アポロンは最も美しい神様です。
髪は濃い金髪、目も深い青。彼は本来、太陽の神でした。後に音楽、詩、数学、医学の守り神となりました。成人したアポロンは節制を説くようになりました。彼は信者たちに向かって、まず自己の内心をふりかえり、それを知恵の出発点とし、諸事万端、慎重に行動することを教えました。しかし若い頃の彼は、いろいろと残酷な行為や無法をやったのです。

アポロンの仕業の中で感心できないのは、マルシュアスという名の半馬人に対して取った処置でした。この半馬人は音楽にすぐれていたのが災いのもととなりました。音楽はアポロンの専門であったために、彼はライバルの存在を認めなかったのです。半馬人の評判が高くなると、アポロンは彼をコンテストに招きました。勝者は敗者に好きな罰を与えることができるという取り決めでした。半馬人はフルートを、アポロンは竪琴を弾きました。2人ともうまく、どちらとも判定をくだしかねたときアポロンは

「今度は楽器をさかさに持って、歌いながら演奏するのだ。私が先にやる」

アポロンは琴をさかさにして、弾きながら歌いました。しかし、フルートはさかさにしては吹けないし、吹きながら歌うこともできません。そこで半馬人の負けとなりました。アポロンは罰を半馬人に加えました。半馬人を生きながら皮をはぎ、皮を木に張りつけたのです。木の根から水が吹き出して川になり、川辺に葦がはえ、風が吹くとやさしい音をかなでるようになりました。

また、アポロンは数々の娘と恋愛をしました。
アポロンはテッサリアの姫、コロニスに恋をしましたが、彼女はアルカディアの王子イスキュスを愛していました。しかしアポロンは強引に我を通し、彼女は子供を身ごもりました。アポロンは旅に出て、留守中に白いカラスに彼女の見張りをさせておきました。当時のカラスは白かったのです。
アポロンはデルフォイの神託に用があったのですが、巫子の1人が、ちょうど今、コロニスがイスキュスをもてなしていると予言しました。その時、カラスがあわてて飛んできて、同じスキャンダルを告げました。

「お前が悪い、よく見張らないからだ!」

とアポロンはカラスをはげしく呪ったために、その羽は真っ黒にこげ、それ以来、カラスは黒くなりました。
アポロンは自身ではコロニスを殺せなかったので、妹に頼みました。
アポロンは力をおとしましたが、彼女が子供をはらんでいたことを思い出し、彼女の魂を冥界に連れて行くヘルメスがアポロンの気持を察し、死んだ女から男の子を取り上げ、アポロンに差し出しました。アポロンはその子とかかわりたくなかったので、世話をヘルメスに頼みました。

この子は大変非凡な子でした。
ヘルメスはこの子を半馬人のキロンにあずけました。キロンはすぐれた家庭教師として有名で、この子に診断法、外科、薬用植物学、狩りを教えました。少年は大人になるまでもなく、片っ端から、すべてを修得し、やがて全世界にアスクレピウスという名の名医として知れ渡るようになりました。
その名声はアポロンにも聞こえ、彼は少年を試すことにしました。アポロンはありとあらゆる病気にかかった老いぼれの貧乏人になってアスクレピウスの前に姿を現しましたが、アスクレピウスの治療は親切ですぐれているので、アポロンは驚きました。そこで彼は神の本来の姿になって、息子を抱き、その成長を喜びました。

こうした彼のすぐれた治療により、あの世の入り口から、何人かの人間を彼が引き戻したことは、冥界の王ハデスを怒らせました。ハデスはゼウスに文句をいい、アスクレピウスは泥棒だと訴えました。そこでゼウスは雷の矢をこの若い名医に投げつけ、患者もろとも殺してしまいました。
アポロンはこれを聞くと怒り狂ってオリュンポスを襲いました。ゼウスはアポロンを冥界に永遠に追放してしまいました。これを聞いた母親のレトは、息子をとりなし、その言葉が行き届いていたために、ゼウスは折れてアポロンの追放令を撤回し、アスクレピウスも生き返らせました。ただし、これからはアスクレピウスも治療に当たってさらに慎重にして、神々を怒らせないようにという条件がつきました。

アフロディテはこれを聞くと、うらやましくてたまりませんでした。アポロンに嫉妬した彼女は彼を苦しめてやろうと思いました。アフロディテは息子を呼びました。

エロスは2種類の矢を持っていました。金のやじりに白い鳩の矢羽根の方に当たると恋をするようになります。鉛のやじりに茶色のフクロウの矢羽根の方は、相手に無関心になります。エロスは川の神の娘で妖精のダプネがアポロンと出会うように取り計らいました。そして、姿をかくし、アポロンを恋の矢で射、ダプネを無関心の矢で射ました。金色で装ったアポロンがダプネの方に駆け寄ると、ダプネは逃げ出しました。彼は訳がわかりません。ダプネは逃げ、アポロンは追う。彼女は川に向かって走りながら

「お父様、助けて!」

父親は彼女の願いを聞き届けました。アポロンは彼女をとらえたと思ったら、彼は木に抱きついているのでした。彼はつぶやきました。

「なぜ、私を嫌うのだ」

風が吹いて葉をならし、それは言葉になりました。

「わからない」

しかし、木は神の嘆きをあわれに思い、葉で作った冠を贈りました。この月桂樹で作った冠は枯れることがなく、英雄や詩人や競技で勝った若者の頭を飾りました。勝負に負けた者が、なぜだ、と問いかけるとき、この木はこう答えるといわれます。

「わからない・・・」


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