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旧約聖書

ノアの方舟

「わたしは人を創造したが、これを地上からぬぐい去ろう。人だけでなく、
家畜も這うものも空の鳥も。わたしはこれらを造ったことを後悔する。」
(創世記6章7節)


ノアの方舟の物語は、シュメールやバビロニアで語り継がれていた『ギルガメッシュ叙事詩』を下敷きにしています。
ノアは神様から生き残る手段として、方舟を作るように言われます。
方舟とは「箱型の船」で、長さ300アンマ、幅50アンマ、高さ30アンマ・・・なんていわれてもわかりませんよね。私にもさっぱり分かりません。全長は135メートルで、海上自衛隊護衛艦「あさぎり」型とほぼ同じくらいです。

「アンマ」について・・・欽定訳聖書では「キュピト」ですが、原語は「前腕」の意味です。基本的長さの単位で肘から中指の先までのこと。換算すると約45cmです。新共同訳聖書では、「アンマ」となっています。


ノアが600歳を迎えた年に、「水底が割れ、天の窓が開いた」かのように大雨が40昼夜降り続きました。ノアは神様の言葉に従い、清い動物と穢れた動物とをそれぞれつがいで方舟の中に導いて非難しました。
水は150日の間大地の面を覆いつくし、天の下の生き物はすべて絶え果てました。大地はしばらく水没したままでしたが、神様はノアのことを思い出し、水面に風を吹かせると水は引きはじめました。

ノアは方舟の窓から烏を、次に鳩を放して水の引きぐあいを確かめてみました。
7日後に鳩を放してみるとオリーブの枝をくわえて戻ってきました。

この故事からオリーブの枝や鳩が平和の象徴となり、「オリーブの枝を差し出す」ことが和解の提案のしるしとなりました。

ノアは方舟から外に出て祭壇を設け、神様に全焼の燔祭 ( はんさい ) を捧げました。
燔祭から立ち上るかぐわしい香りに怒りを鎮められ、神様は新しい人類の代表者であるノアとの契約の証しとして、空に虹をかけられました。

一説によれば、この物語の背景にはユーフラテス河の氾濫があるといわれています。
古代バビロニアでは洪水のためシュリパックという都市が壊滅したという記録があり、『ギルガメッシュ叙事詩』にも都市壊滅に関する記述があるからです。また、古い中東の地勢図によると、この地方には数多くの断層が走っており、「水底が割れ・・・」という表現(欽定訳聖書)から、大地震が起こった可能性が高いといわれています。

では、物語に出てくる大雨の40日にはどのような意味があるのでしょうか。
聖書では40という数字は長くて不快な期間に用いられています。
モーセが十誡を授かるためにシナイ山にこもった日数は40日ですし、キリストの荒野における40日の断食は、この苦悩の「40」を象徴的に体験するものともいえます。
そうすると、ノアの洪水の40日は、混沌状態にある世界が滅びて新しい調和の世界が誕生するまでの変容期間であると捉えることができます。
ノアが辛く苦しい体験を経たのちに新しい調和の世界に到達したことは、創造には犠牲が伴うという神話の原理を思い出させもします。

ノアとの契約の証しとして、神様は空に虹をかけられましたが、この故事にならって虹(rainbow)は 「約束の弓」(bow of promise)ともいわれます。
古代人は虹を神の武器(弓)とみなしていましたので、神様がその武器を天におけば、平和が訪れると考えたのでしょう。


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